多様化する読書

最近の書店に並んでいる本を見ると
昔の本に比べてハードカバーが少なくなったように
思える。一昔前は通勤電車の中で本を読んでいる光景を
目にする事が多かったが、最近はスマートフォンなどで
電子書籍を読んだりする事が出来るようになったためか
とんと見かけなくなった。スマートフォンの方が通信機能を
備えていて、場所をとらないからだろう。

書店で人気のある新刊本を求める場合はしばらくたってから
中古本屋で売られている本を買ったり、
文庫本になるのを待って買う人がいるが、それはそれで
良い選択だろう。もしも通勤や通学の時間帯に本を読む習慣が
あったら、持ち歩くのに便利で邪魔にならない文庫本の方に
軍配が上がるに決まっているからだ。

その一方で、中古本屋で売られている本の大半が文庫本だ。
この結果は何を示しているのか。文庫本はどんな場所でも
読めるという利点があるが、見た目が安っぽい。同じ装丁でも
ハードカバーと文庫本で比べてみると、断然ハードカバーの方が
立派に見える。持ち運びが便利な反面、居場所の指定がないのだ。
本棚に並べておくのは良いが、立派な本棚だと完全に浮いて見える。
ジャケット買いをする人には余計につらく思える事だろう。

電子書籍と共に普及するだろうと思われるのは、
声の書籍だ。ベテランの俳優や声優が本を朗読したCDを
販売しているが、俳優や声優は一人何役もこなす事が出来るし
素人には出せない味がある。目の負担を懸念する高齢者や酷使する職業についている人、
目が見えない人には心強い。

紙の質感を大切にする人は書籍、利便性を大切にする人は電子書籍やCDを
使うと良いだろう。いずれの場合でも、自分が楽しめる事が第一だ。
良い作品に親しんでいきたいものである。